IPO投資・中小型株投資を本気で考えるなら!
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KCRビジネスジャーナル 2006年01月24日号
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目次
■東京IPOで毎月1回好評連載中! 〜本物の企業IRを考えるシリーズ〜
「個人投資家にとっての企業IR」その9(全12回)
株式会社KCR総研 代表取締役 金田一洋次郎
(証券アナリスト・IRコンサルタント)
■本日のIPO・新興市場市況
「日経、288円高。新興市場、大幅反発」
■本日の公開レポート
【有料】
<KCR-IPO-IRレポート>
株式会社エスプール(2471・ヘラ)
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株式会社カネミツ(7208・大2)
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■東京IPOで毎月1回好評連載中! 〜本物の企業IRを考えるシリーズ〜
「個人投資家にとっての企業IR」その9(全12回)
株式会社KCR総研 代表取締役 金田一洋次郎
(証券アナリスト・IRコンサルタント)
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本物の企業IRは、企業そのものを変えてしまう。だから怖い。一例を挙げよう。
この秋(2005年9月)、静かに上場廃止を迎えようとしている2つの企業がある。
一つは、シチズン電子ともう一社は、ミヨタという会社だ。実は、この両社は
ほぼ同時期に店頭公開を果たしており、どちらもシチズン時計の子会社という
点では、極めて共通項の高い企業である。上場当時の経営陣は、シチズン時計
からの転籍で、時計のムーブメントを作ると言う観点からは、技術水準も同じ
であり、人材レベルもほぼ同じ、本社立地こそ片や山梨県の甲府、片や長野県
の軽井沢と違うが、どちらもきれいな水が必要なハイテク産業に必要な立地で
ある点も変わらない。
実は、この両社、公開時の主幹事証券も同じなのだ。当時の主幹事証券会社は、
勧角証券で現在のみずほインベスターズ証券であり、シリーズ初回のコラムで
紹介させて頂いたとおり私が独立前に勤務していた会社である。私は、この両
社をこの10年間、ずっと観察してきた。正確な公開時期は、シチズン電子が
1996年10月であり、ミヨタは1994年3月でミヨタの方がちょっとだけ先輩なの
だが、当時は、今のようなヘラクレス、マザーズなどの新興市場が多様にあっ
たわけではなく、成長市場としては唯一であった現在のジャスダック市場であ
る店頭市場に両社とも公開したわけである。
公開時の初値は、ミヨタ3250円、シチズン電子3420円とこれまた似ている。時
価総額においてもミヨタ232億円、シチズン電子300億円と70億円程度しか違わ
ず、ほぼ同様の資本政策が組まれたわけである。このように出身母体が同じで
あり、察するに技術力や営業力、マーケティング能力など、およそヒト、モノ、
カネといった企業の要諦を全て同様の条件で満たしている双子の兄弟とも言え
る両社が、果たして現在どうなったか。
驚くべきことに、現在の時価総額は、シチズン電子は、約2000億円、ミヨタは
約180億円と10倍以上の開きがあるのである。 実際のところ、この10年間の軌
跡を見てみると、シチズン電子は、上場後一貫して、株価は上昇基調にあるの
に対し、ミヨタは上場直後から逆に値下がりを続けている。どちらもシチズン
の子会社なのだから、よっぽどのことがない限り倒産はないにしても、株価的
には目を覆わんばかりの違いである。ちなみにシチズン時計は、時価総額2600
億円ほどであり、近年、シチズン電子は、親会社とほぼ同等の水準にまで達し
ているので、この10年間でシチズン電子がいかに成長したかがみてとれるだろ
う。
一体、この違いはどうしてこんなに出てしまったのか。業績か。確かに今とな
っては、その違いも大きい。直近の決算で比較した場合シチズン電子は、連結
ベースで売上高900億円の経常利益で163億円であるのに対しミヨタは、連結売
上高364億円、経常利益は 20億円と開きがある。しかし、公開当時は業績的に
も両社は、ほぼ同等レベルであったのだ。96年当時の両社の決算はミヨタ売上
高371億円の経常利益14億円であり、シチズン電子の売上高は280億円の経常利
益20億円と売上的にはミヨタの方が大きいぐらいであったのだ。ミヨタは、収
益率こそシチズン電子に見劣りするものの、当時の業績は、増収増益を堅持し
好調で、にもかかわらず株価は、公開直後より、下落し続けたのである。
先述したように、両社は、親会社シチズン時計との経営統合により、本年10月
1日を持って株式交換方式により、上場廃止となる。上場子会社の場合、上場
計画の絵を描くときも親会社の主導であり、引くときも親会社の考え方次第で
あるといったところは、宿命ともいえるかもしれないが、この10年間で両社が
投資家にもたらした違いはあまりにも大きい。
仮に、AさんとBさんという投資家が、公募時点でどちらかのの株式を購入し、
現在まで長期保有した場合、その差に皆さんは愕然とするだろう。公開時点の
公募価格で購入したとして、Aさんは、ミヨタを1000株購入したとすれば325万
円の投資だ。ミヨタはその後1;1.3、1;1.0の分割を2回だけ実施しているから、
1000株の株数は増えて1430株の持分となる。一方 Bさんも同じようにシチズン
電子を公募時点で1000株購入したとしよう。シチズン電子の公募時点の投資額
は 342万円。ほぼミヨタと同じ水準である。シチズン電子もその後分割を実施、
1;1.3、1;1.0、1;1.2、1;2.0、1;1,5と上場後累計5回の分割を経てこちらの持
分は、5148株となる。
もうお分かりだと思うが、分割考慮後のミヨタを現在の株価で Aさんの金融資
産を計算すると 265万円と未だ元本割れの状態である。11年間保有し続けて絶
対額で60万円ほどの損、直利回りでは−18%、毎年2ポイントずつほど資産が目
減りしていった形となっている。方や Bさんの金融資産は、現在のシチズン電
子の株価で計算すると、2530万円に大化けしている。投資額に対して絶対額で
は 2200万円ほどの儲けとなり、直利回りでは、なんと641%、年利換算で71%も
の驚異のパフォーマンスを実現しているのである。想像では割り切ることがで
きても、同じ時期に投資をしたAさん、Bさんの立場からは洒落にもならないと
いうのが本音ではないだろうか。
この違いの裏に企業IR活動があったといえば言い過ぎであろうか。実は、シチ
ズン電子の方は、私自身が、公開前に徹底的にIR戦略を描き傾注させて頂いた
企業なのである。当時、シチズン電子の経営陣は、上場に際し、どのように資
本市場において自社をイメージさせるかをことのほか考えていた。とりわけ危
惧していたのは、シチズンと付いている社名そのもので、シチズン時計という
親会社のイメージそのままで市場に出て行っていいものかを真剣に考えていた
のである。
当時においても時計というイメージは既に我が国企業の勝ち組は、シチズン時
計と服部セイコーであり、一人が複数の時計を持つファッション性から比較的
安定した生産はなされていたものの、単価の下落も激しく市場では典型的な成
熟業界と見られていた。安定的な供給はなされても大きな成長性はない。当時、
シチズン電子も少なからず時計のムーブメントを受注していただけにその点を
気にしていた。また、当時まだ市場は黎明期であったが、シチズン電子が事業
的にもその将来性を期待し傾注していた事業があった。その事業が、現在の成
長の牽引となったチップLEDを表面実装するという技術である。
今でこそ、我が国において携帯電話は、当たり前の時代であるが、当時は、我
が国おいては自動車電話がまだ主流。しかし、欧米においてはノキアなどが先
行して、携帯電話の開発を進めていた。その成長性にシチズン電子の経営陣は
気が付いていた。当時、勧角総合研究所で企業IRの指導を行っていた私は、チ
ップ LEDの将来性につきあらゆる方面から将来を推計した。その技術は、携帯
電話をはじめパソコン、カーナビゲーション、薄型テレビなど、今となっては
私たちの身の回り溢れるハイテク製品において様々な方面で活躍する技術であ
ることが分かったのである。
私は、当時の経営陣にこう進言した。「資本市場において時計のイメージを持
たれることはかなりのマイナスです。まだまだこれからの技術ですが、チップ
LEDの光の世界を連想させるIR活動を行っていきましょう」。同社のIRコア・
コンセプトは、「マン・マシンインターフェースで未来を開くシチズン電子」
と決定した。これは、同社自身も折に触れ、使用していた言葉なのだが、意味
は、携帯電話やパソコン、テレビや自動車、コピー機など様々なハイテク機械
とそれを使う人間との間に必ずシチズン電子の技術があり、その技術で未来を
切り開くという思いが込められている。
企業IR活動は、市場との対話の連続の活動である。チップ LEDの話を中心にア
ナリスト達と対話が始まれば、政治家のマニュフエストよろしく、シチズン電
子の経営陣は、チップ LEDを中心とする事業の進捗状況を市場から聞かれるこ
とになる。勢い、同分野に傾注する事業努力は年々増していく。そうした市場
の声もあって、シチズン電子は、今やチップLEDデバイスで世界的なシェア
を占める世界的なメーカーへと成長することができたといえるだろう。
ミヨタの方も企業IR活動をしなかったわけではない。しかし、同社の方は、上
場時にIRを戦略的に考えたわけではない。当時の同社のIRツールを見るに、時
計の実装技術の紹介が第一であり、当時から手掛けていたビューファインダー
や液晶バックライトは劣後する構成になっている。何回も言うが少なくとも、
両社は、シチズングループの一員として人的、技術的、資本的な面では何ら変
わらない状況であったはずである。表面実装においては、同様の強みを持ち、
成長分野へ傾注することはミヨタにおいても可能であったはずだ。
企業IRを戦略レベルで実施する企業は、市場の声をバックに、それが自信とな
って大胆に新規事業に取組むことができる。市場の声は株価に反映しやすい。
新規事業に参入する時、株価が逆に下がるようであれば、市場が何らかの理由
で歓迎していない証ともいえる。事業経営者からみればオーバードライブをす
る前に踏みとどまることもできるかもしれない。本物の企業IRとは企業の将来
を大きく変えてしまう活動といって過言ではないだろう。
※2005年9月掲載。投資情報満載のメールマガジン「東京 IPOマガジン」のご
登録は、同社ウェブサイトで。 http://www.tokyoipo.com/
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■本日のIPO・新興市場市況 提供:株式会社KCR総研
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「日経、288円高。新興市場、大幅反発」
(平成18年01月24日)==================================================
・日経平均株価 15,648.89円 (+288.24円)↑
・日経ジャスダック平均株価 2,667.51円(+ 53.89円)↑
・マザーズ指数 2,046.14 (+132.94 )↑
・ヘラクレス指数 3,326.33 (+207.48 )↑
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24日の日経平均株価は、1万5,648円89銭と前日終値に比べ288円24銭高、上げ
幅は昨年来で6番目の大きさとなった。ライブドアの証券取引法違反事件で、
同社社長らが逮捕されたことから「当面の悪材料が出尽くした」との見方が広
がりほぼ全面高の展開。業種別株価指数は石油、電力、造船を除いた全ての業
種で上昇、業績発表の上方修正銘柄に加え、高配当・高利回り株を物色する動
きが見られる。
日経ジャスダック平均は前日比53.89円高い 2,667.51円と3営業日振りに反発。
日経平均株価が大幅反発したことで市場参加者の心理が改善した。値上がり率
ではローヤル電機(6593)、フリード(9423)、プラネックスコミュニケーション
ズ(6784)が上位。反対に多摩川電子(6838)、シノケン(8909)、チムニー(3362)
が値を下げる。
フリード(9423) :http://www.kcr-inc.com/ipo/report.cgi?code=9423
チムニー(3362) :http://www.jlpi.jp/analyst/report.cgi?code=3362
(会員のみ閲覧可)http://www.jlpi.jp/ipo/pdf/3362.pdf
マザーズ指数は前日比132.94高い2,046.14ポイントと大幅反発、前日に約2カ
月ぶりに下回った 2,000を回復した。アルデプロ(8925)、テレビ東京ブロード
バンド(3786)、メビックス(3780)が高い。半面、値下げ銘柄はライブドア
(4753)、ライブドアマーケティング(4759)、ピーエイ(4766)、アドテックプラ
ズマ テクノロジー(6668)の4社のみ。
テレビ東京ブ(3786):http://www.kcr-inc.com/ipo/report.cgi?code=3786
メビックス(3780) :http://www.jlpi.jp/analyst/report.cgi?code=3780
(会員のみ閲覧可)http://www.jlpi.jp/ipo/pdf/3780.pdf
アドテック プラズマ テクノロジー(6668)
:http://www.jlpi.jp/analyst/report.cgi?code=6668
(会員のみ閲覧可)http://www.jlpi.jp/ipo/pdf/6668.pdf
ヘラクレス指数も3営業日振りに大幅反発。上昇幅は19日の207.48ポイントを
上回り過去最大。エフアンドエム(4771)、デジタル・アドバタイジング・コン
ソーシアム(4281)、アイ・エム・ジェイ(4305)が買われる。一方、値下げ銘柄
はサンライズ・テクノロジー(4830)、ミホウジャパン(2880)、シーエスロジネ
ット(2710)、ユークス(4334)、三光ソフラン(1729)の5社のみ。
ミホウジャパン(2880)http://www.jlpi.jp/analyst/report.cgi?code=2880
(会員のみ閲覧可)http://www.jlpi.jp/ipo/pdf/2880.pdf
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掲載しております。本日は新興3市場から有力IPO企業をピックアップした
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