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KCRビジネスジャーナル 2005年11月28日号 http://www.kcr-inc.com/
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目次
■東京IPOで毎月1回好評連載中! 〜本物の企業IRを考えるシリーズ〜
「個人投資家にとっての企業IR」その2(全12回)
株式会社KCR総研 代表取締役 金田一洋次郎
(証券アナリスト・IRコンサルタント)
■企業IR情報コーナー「IR BOX」
株式会社日本ロングライフ(4355・ヘラクレス)
■松井証券マーケットプレゼンス毎週水曜日好評連載中!
証券アナリスト金田一洋次郎の業界セクター分析講座
〜チェーンストア編〜 (第1回/全12回)
■IRコンサルタントのつぶやき 〜「誰が為に、企業は存在する」〜
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■東京IPOで毎月1回好評連載中! 〜本物の企業IRを考えるシリーズ〜
「個人投資家にとっての企業IR」その2(全12回)
株式会社KCR総研 代表取締役 金田一洋次郎
(証券アナリスト・IRコンサルタント)
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○企業IRの原点とは
読者の皆さんは、企業IRの原点をご存知だろうか。私は、IRを研究して
かれこれ13年になるが、私とIRの出会いは、まさに衝撃的なものであった。
もうかれこれ16年も前の話になるが、IRという言葉に出会うちょうど数年前、
私は日本勧業角丸証券(現みずほインベスターズ証券)という準大手証券の事
業法人部に所属していた。当時の事業法人部は、花形でピーク時には会社の経
常利益の8割を叩き出すほどの兵がそろう部署であった。私は、この部署に3年
間所属していたのだが、まさにその時期は、日本のバブル真っ盛りの時。その
頃のトップ法人マンは、1日で3,000万円程の手数料を当たり前のように稼いで
いたのだから、冷静に考えれば今でも全く一体どうなっていたのかと思う。
少し、余談になるが、当時の事業法人部での活動は、私にその後の企業IR
の重要性を気付かせるのに大切な時期であったとつくづく思う。私は、入社2
年目で事業法人部に配属されたから、当時の主役は、今の私と同じくらいの年
齢の先輩方が中心であった。今でも忘れない出来事がある。私は、入社1年目
は、大阪営業部で個人営業を中心に行い、その後すぐに事業法人部に転属とな
った。当時の本社は、東京丸の内北口の前に聳え立つ丸の内センタービルディ
ングで、その6Fに足を踏み入れたとき、その広さと異様な活気に圧倒されたの
を鮮明に覚えている。当時、同期入社で、事業法人部門に配属されたのは私を
入れて4名であった。その4人を当時の事業法人部副部長であった常務が別室に
呼び、私たちに声をかけた第一声がこれである。
○「君たちは選ばれた人間だ。」
まだ、入社2年目である。ついこの間まで大学生であったのだ。日本の中枢
の金融街で、いきなり会社の経営幹部からこの言葉を浴びせられたたら、どん
な人間だって勘違いも含めて舞い上がってしまうだろう。ちなみに当時の会社
の従業員数は、6,000人を超えていた。私と同じ大卒同期入社は、200人強だっ
たから、選ばれたのは実に50人に1人の確率となる。その時の私たちの気持ち
の高ぶりがわかって頂けると思う。さらにショッキングな事が続く。当時、事
業法人部は、4部まであって、私は第三事業法人部に配属となったのだが、そ
の時の先輩方がまた凄かった。少し、説明が遅れたが証券会社の事業法人部と
いう部署は、いわゆる上場企業を顧客として、渉外活動を実施する部隊であり、
その守備範囲は実に広い。最終目的は、無論、幹事指名や運用手数料収入によ
る利潤追求が目的であるが、その獲得に至るまでの手段は、ファイナンスの提
案はもとより、資金運用アドバイスから、株主総会対策、営業協力、役員・オ
ーナー個人の相続対策、冠婚葬祭、ご子息の就職の世話まで、まさに何でもや
ってのける部隊なのである。
配属当時、証券会社の事業法人部が何たるかも知らない私は、先輩に対しこ
う質問した。「事業法人部って何をするのですか」。先輩は、その質問にまと
もに答えず、黙って今から行くところに着いて来いという。丸の内センタービ
ル前からタクシーに飛び乗り、首都高速を抜けて着いた先は、池袋のサンシャ
インビル60。当時、新興財閥として名を馳せていたセゾングループが結集し
ていた高層ビルディングである。その一角にあるセゾングループのグループ中
枢金融会社、そこが当部の上客であったのだ。ちなみに私がいた日本勧業角丸
証券は、第一勧業銀行系列で、セゾングループとはことのほか仲が良かった。
当時の先輩が扱っていた運用資金額は、その金融会社1社だけで数十億円にも
上る規模であったのである。
サンシャインビル60にある役員応接室へと通された私と先輩。やがて金融
会社の役員が、やや顔を紅潮させて入ってきた。開口一番、その役員は言った。
「いや〜、良かったよ」。すると先輩が、「でしょ。あの子は間違いないんで
す」。どうやら接待の女性の話をしているらしい。「運用成績、お宅が一番だ
ったよ。これからも宜しく頼むよ」。「じゃ、引き続き宜しくお願いします」。
新人である私の紹介もほどほどに面談は10分ほどで終わった。帰社するタクシ
ーの中で、その先輩は、私にこう言った。「金田。これが事法(事業法人部の
こと)だ」。当時の私は、何が何だか分からず、ただ今までやってきた個人営
業とは全く違う異質な、また日本経済の光と影を同時に見たような気がして、
ただただその勢いに圧倒され呆然としていたのである。
※2005年02月掲載。投資情報満載のメールマガジン「東京 IPOマガジン」のご
登録は、同社ウェブサイトで。 http://www.tokyoipo.com/
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■企業IR情報コーナー「IR BOX」
株式会社日本ロングライフ(4355・ヘラクレス)
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このコーナーでは、株式公開企業のIR情報をお伝えして参ります。
※当コーナーでは、現在、掲載企業を募集しております。ご希望の企業様は当
メールマガジンの最後に記されているお問い合わせ先までご連絡ください。
○株式会社日本ロングライフ(4355・ヘラクレス)
http://www.j-longlife.co.jp/
平成17年11月28日発表
「業績予想の修正に関するお知らせ」
http://www.j-longlife.co.jp/ir-kcr/image/pdf/051128shusei.pdf
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■松井証券マーケットプレゼンス毎週水曜日好評連載中!
証券アナリスト金田一洋次郎の業界セクター分析講座
〜チェーンストア編〜 (第1回/全12回)
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第1回 チェーンストアとは
消費志向が多様化する中、チェーンストアのあり方が試されている。本編は、
これまで特定の業界に的を絞って分析を行ってきた連載の趣を変え、このチェ
ーンストアというある種のビジネスモデルを用いて事業を展開する企業群の分
析を行うことを目的とするものである。
連載を始めるにあたって、まずはチェーンストアの基本を確認しておこう。
チェーンストアとは、小売業の経営管理手法で、標準化された店舗を一元的、
効率的にコントロールするシステムをいい、その特徴としては、どの家庭でも
普段の生活で頻繁に大量に消費するものを中心とした品揃え、同じ商品を多数
の店舗で販売することによる規模の利益の追求、限定商品および大量販売によ
る仕入れと販売の高効率化などがあげられる。また、大きさや形態、イメージ
を統一した店舗を大量につくる手法や、本社と管理部門、仕入れ機能を集中す
るかたちをとる。その起源は意外に古い。1910年代のアメリカで生まれたとい
われ、わが国では昭和30年代に入ってから見られるようになった店舗展開スタ
イルである。
規模の大きさによって、ローカルチェーン、リージョナルチェーン、ナショ
ナルチェーンなどに大別されるが、それはあくまでも店舗を展開する地域の広
さを基準とした分類であり、チェーンストアと定義される以上、前記のような
特徴を有していることに変わりはない。また、チェーンストアは、コンビニエ
ンスストア、総合スーパー、ドラッグストア、ファミリーレストラン、ファー
ストフードなどによく見られる多店舗展開の形態だが、各種の専門店にも幅広
く見られ、特定の業種に縛られるものでもない。
以上のような基本的特徴を踏まえ、次回以降、チェーンストアの分析を進め
ていくこととする。
※2005年1月執筆。現在、松井証券マーケットプレゼンスでは、「100円ショッ
プセクター編」を連載中です。投資情報満載のメールマガジン「松井証券マ
ーケットプレゼンス」のご登録は、同社ウェブサイトで。
http://www.matsui.co.jp/mailmag/
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■IRコンサルタントのつぶやき 〜「誰が為に、企業は存在する」〜
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○「企業の目的は何か」
CSR(企業の社会的責任)という言葉は、日本においてもかなり定着したと思
われる。その発端は、数年前に多発した企業不祥事に求められよう。食品、商
社、エネルギー、そして自動車業界において名だたる名門企業が自らの身(利
益)を守るため、消費者を無視した行動を採り、結果として業績と株価の低迷、
時には経営破綻へとつながった。
果たして、企業は利益だけを追求すべき存在なのか。根本的な命題が、今日
において改めて問われることとなる。従来、「企業の目的は何か」という命題
に対して、「利益の追求のみである」と主張したのはノーベル経済学賞を受賞
したM・フリードマンであった。当然ながら、彼の主張は様々な議論を呼び起
こし、今日におけるCSRの基本的な土台が形成されていくこととなる。
フリードマンの主張に誤りがあったわけではない。そもそもの前提として、
「企業の所有者は誰か」という問いに、彼は「株主である」という点を重視し
ただけであった。すなわち、企業は所有者である株主に貢献する必要があり、
そのためには株主利益の創出を目的としなければならない。それ以外の目的は
企業に自主性を持たせ、次第に権力の乱用へとつながり、やがて自由社会の枠
組みが崩壊する。要約すれば、彼の主張はこのようなものとなる。
○「企業の所有者は誰か」
さて、現在において「企業の所有者は誰か」。もちろん、日本では商法にお
いて「株主である」と明確に規定されている。だが、企業は株主のためだけに
存在するのか、となると現実の世界と照らし合わせると、そうとも言えない。
当然ながら、消費者がいる。従業員も忘れてはならない。地域社会の住民もま
た同様である。利益という経済的な視点でなく、利害という社会的な視点によ
って、企業は多数の関係者(利害関係者:ステークホルダー)と共存している
ことが理解される。
日本経済は息を吹き返し、株式市場も活性化してきた。日経平均株価が現内
閣誕生時の値を上回り、東京証券取引所での売買高は45億株と過去最高を記録
したと報道されている。同時に、数年前に激しく糾弾された企業の株価もまた
上昇しつつある。自らの姿勢を問い正すと同時に、利益を生み出す体質となっ
たことは大いに歓迎すべき事実であろう。
○「企業は誰の為に存在するのか」
しかしながら、なぜか割り切れない思いもある。実際に被害を受けた株主以
外の利害関係者はどのように思っているのだろうか。すなわち、株価の上昇に
伴って、不正な行いを採った企業が恩恵を被る事にどのような思いを抱いてい
るのだろうか。経済的な余裕が生じるに伴って、またしても利害関係者を軽視
した行動が採られることに不安を抱いてはいないか。
改めて問う。「企業の所有者は誰か」。いや、こうも問い直せる。「企業は
誰の為に存在するのか」。株主の立場が優位になる中、改めてステークホルダ
ーの存在ならびに彼らとの共存を忘れてはならないのでは。企業を取り巻く環
境が賑やかになる中、色々と思いは巡る今日この頃である。果たして、企業は
誰が為に。(KJ)
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編集・発行
株式会社KCR総研 研究員 梶本昭典
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